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膝の痛みが股関節から来ているケース|関連痛の連鎖と根本治療アプローチ

「膝が痛いのに、膝には何も異常がない」――そのお悩み、ありませんか?
「整形外科でレントゲンを撮ったけど、膝には異常なしと言われた」「痛み止めを飲んでも、また痛くなる」「湿布を貼り続けているが、一向によくならない」――こうした声を、患者さんからよくお聞きします。
膝の痛みを抱えて来院される方の中に、実は膝そのものではなく、股関節や骨盤の機能不全が原因になっているケースが少なくありません。整骨院の現場で25年・延べ29万人以上の方の体を診てきた経験からはっきり申し上げられることがあります。「痛い場所が原因とは限らない」――この視点なしに、慢性的な膝の痛みを根本から解決することは難しいのです。
本記事では、股関節の機能低下がいかに膝の痛みを引き起こすのか、そのメカニズムと整骨院でのアプローチ、そして自宅でできるセルフケアまでを詳しく解説します。
膝の痛みが「股関節」から来るとはどういうことか
関連痛(放散痛)という現象
医学的に「関連痛(かんれんつう)」あるいは「放散痛」と呼ばれる現象があります。これは、痛みの発生源(原因)と、痛みを感じる場所(症状)が一致しない状態です。
たとえば心臓が原因の痛みが左腕に出る「放散痛」が有名ですが、筋骨格系にも同じことが起こります。股関節周辺の筋肉・関節包・神経が刺激を受けると、その刺激信号が脊髄を経由して「膝から来た信号」として脳に誤認識される場合があるのです。
このとき膝をどれだけ治療しても、発生源である股関節の問題が解決されなければ痛みは戻ります。多くの方が「治ったと思ったらまた痛くなる」を繰り返す背景には、こうした原因部位と症状部位のズレが存在します。
股関節と膝をつなぐ筋肉の連鎖
股関節と膝は、解剖学的に複数の筋肉を介して直接つながっています。代表的な筋肉の連鎖をみてみましょう。
- 大腿四頭筋(だいたいしとうきん):股関節の前面から膝蓋骨(膝のお皿)を経て脛骨に付着する。股関節の伸展制限があると、この筋肉が過剰に引っ張られ、膝前面の痛みとして現れる。
- 腸腰筋(ちょうようきん):骨盤・腰椎から大腿骨の内側に付着するインナーマッスル。弱化すると骨盤が後傾し、膝に加わる圧力のバランスが崩れる。
- 中殿筋(ちゅうでんきん):骨盤の横に位置する筋肉で、歩行時の骨盤安定を担う。弱化すると歩くたびに骨盤が左右に揺れ、膝が内側に倒れる「ニーイン」の原因になる。
- 大腿筋膜張筋・腸脛靭帯(ITバンド):骨盤の外側から膝の外側に走る構造体。股関節外転筋が弱いと腸脛靭帯が過緊張し、膝外側に痛みを引き起こす(腸脛靭帯炎)。
- ハムストリングス:大腿後面の筋肉群で、股関節と膝関節の両方をまたぐ「二関節筋」。股関節の柔軟性低下で慢性的に短縮し、膝の屈曲制限・膝裏の痛みにつながる。
これらは一本一本が独立して働くのではなく、連鎖して機能する「キネティックチェーン(運動連鎖)」を形成しています。どれか一つが機能不全を起こすと、その負荷が連鎖の先にある膝へと伝わります。
骨盤・脊柱のアライメントと膝への影響
股関節の動きが制限されると、体はその動きを別の部位で代償しようとします。代償として最も多いのが骨盤の傾きの変化と腰椎の過剰な前弯・後弯です。
骨盤が前傾すると大腿骨が内旋しやすくなり、膝に「外反(O脚・X脚)」の負荷がかかります。骨盤が後傾すると重心が後方に移り、膝を「押し込む」方向の力が強まり、変形性膝関節症の進行を早めることがあります。
さらに腰椎から出る神経(L3・L4・L5・S1など)は大腿・膝・下腿を支配しており、股関節周囲の筋緊張が高まると腰椎の椎間板や椎間関節に負担がかかり、神経根への刺激が膝の周辺の痛みやしびれとして現れることもあります。
こんな膝の痛みは「股関節由来」を疑う
以下のチェックリストに複数当てはまる場合、股関節が根本原因である可能性が高いです。
- 整形外科の画像検査で膝に大きな異常が見られなかった
- 膝の内側または外側だけが痛む
- 階段の上り下りや立ち座りで膝が痛む
- 長時間歩いたあとに痛みが増す
- 股関節を大きく開くと詰まる感じやゴリゴリ感がある
- 片足立ちのときにバランスがとりにくい
- 歩くと腰が左右に揺れると言われたことがある
緑ヶ丘鍼灸整骨院でのアプローチ――根本原因を探る評価から始める
神経学的評価・筋機能評価
当院では、膝の痛みを訴えて来院された方に対して、まず「なぜ今、その場所が痛むのか」の原因探索から始めます。痛みが出ている膝だけを評価するのではなく、以下のような全身的な評価を行います。
- 股関節可動域検査:屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋の各方向で動きの制限を確認。制限方向から問題のある筋肉・関節包を特定します。
- 筋力テスト:中殿筋・腸腰筋・大殿筋などの深層インナーマッスルの機能を徒手筋力検査で評価。アウターマッスルで代償が起きていないかを確認します。
- 骨盤・脊柱アライメント評価:立位・座位・歩行時の骨盤の傾きと左右差を観察し、膝へ伝わる力学的ストレスの方向を把握します。
- 神経学的スクリーニング:腰椎からの神経放散がないかを確認するため、下肢の感覚テスト・腱反射・神経伸張テスト(SLRなど)を実施します。
- 動作分析:スクワット・片足立ち・階段動作などの機能的動作を通じて、動的な膝への負荷パターンを実際に確認します。
物理療法・手技療法
評価で原因を特定したうえで、以下のアプローチを組み合わせて施術します。
- 股関節周囲の手技療法:腸腰筋・梨状筋・中殿筋など深層の筋肉に対して直接的なアプローチを行い、筋緊張の正常化と関節可動域の改善を図ります。
- 骨盤矯正(柔道整復技術):骨盤の歪みを柔道整復の手技によって整え、股関節・腰椎・膝への力学的バランスを回復します。
- 物理療法(温熱・電気刺激):深層の筋緊張を緩和するために低周波電気療法や超音波療法を使用。血流改善と痛みの軽減を促します。
- インナーマッスル(赤筋)再教育:弱化した腸腰筋・中殿筋を中心に、日常動作の中で正しく使えるよう運動療法・神経筋再教育を行います。速筋(白筋)ではなく、持久性のある遅筋(赤筋)を優先的に活性化することで、姿勢保持の改善と再発防止につなげます。
- テーピング・サポート:回復過程での歩行時のアライメント補正に、キネシオテーピングや機能的テーピングを用いる場合があります。
大切なのは、症状(膝の痛み)と原因(股関節の機能不全)を分けて考え、原因に対してアプローチすることです。25年の臨床経験から確信していることは、「痛みのある場所だけを施術していても、根本解決にはならない」ということです。
自宅でできる!股関節由来の膝痛を改善するセルフケア5ステップ
以下のセルフケアは、股関節の柔軟性と安定性を高め、膝への不要な負担を減らすことを目的としています。強い痛みがある場合は無理をせず、必ず専門家に相談したうえで行ってください。
ステップ1:股関節前面ストレッチ(腸腰筋リリース)
片膝立ちになり、前の足を一歩大きく踏み出します。後ろの膝を床につけた状態で、上体をゆっくりと前に倒し、後ろ足の股関節前面に伸びを感じる位置で30秒キープします。左右それぞれ2セット行います。骨盤が前に倒れすぎないよう、お腹を軽く引き込みながら行うのがポイントです。
ステップ2:股関節外旋ストレッチ(梨状筋・深層外旋六筋)
椅子に座り、片足の足首を反対側の膝の上に乗せます(「4の字」の姿勢)。そのまま上体をゆっくりとお辞儀するように前傾し、お尻の外側から股関節の奥に伸びを感じる位置で30秒キープします。股関節外旋筋群のこわばりは骨盤の回旋を妨げ、膝へのねじり負荷につながるため、毎日のケアに取り入れてください。
ステップ3:中殿筋トレーニング(サイドライイングアブダクション)
横向きに寝て、下の膝を軽く曲げて安定させます。上の足をまっすぐ伸ばした状態で、床から約30度の高さまでゆっくりと上げ、ゆっくりと下ろします。10〜15回を左右各2セット。膝ではなくお尻の横の筋肉(中殿筋)で持ち上げることを意識してください。この筋肉を鍛えることで歩行時の骨盤の横揺れが減り、膝への側方ストレスが軽減します。
ステップ4:腸腰筋トレーニング(スローレッグレイズ)
仰向けに寝て、片膝を立てます。もう一方の足をまっすぐ伸ばしたまま、ゆっくりと45度程度まで上げ、5秒かけて下ろします。10回を左右各2セット。速く動かすと表層筋(大腿直筋)が優位になるため、必ず「ゆっくり」が鉄則です。腸腰筋は骨盤を安定させるインナーマッスルの中核であり、この筋肉の弱化は膝への不良ストレスに直結します。
ステップ5:殿筋橋(ヒップリフト)
仰向けに寝て、両膝を90度に曲げて足裏を床につけます。お尻を締めながらゆっくりと腰を持ち上げ、肩・腰・膝が一直線になる高さで3秒キープし、ゆっくりと下ろします。15回を2セット。大殿筋と深層の骨盤底筋を同時に活性化でき、骨盤の前後安定性を高めます。「膝が内側に倒れないこと」「腰を反りすぎないこと」を意識して行いましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 変形性膝関節症と診断されていても、股関節が原因になることはありますか?
A. はい、あります。変形性膝関節症は画像で軟骨の摩耗が確認されていても、痛みの強さと摩耗の程度が必ずしも一致しないことが多くの研究で示されています。股関節・骨盤の機能不全による膝への不良ストレスが変形を加速させているケースでは、股関節へのアプローチで痛みが大幅に緩和されることがあります。「変形しているから仕方ない」と諦める前に、機能評価を受けることをお勧めします。
Q2. 膝の痛みが出始めてから何年も経っています。今からでも改善できますか?
A. 慢性化した痛みであっても、原因が機能的な問題(筋肉の弱化・柔軟性の低下・アライメントの崩れ)にある場合は、適切なアプローチで改善が期待できます。ただし、長期間の代償動作によって二次的な問題が積み重なっていることが多いため、評価と施術に時間がかかる場合があります。早期に取り組むほど回復は早いですが、「今から始める」ことが何より大切です。
Q3. 病院や整形外科と並行して整骨院に通うことはできますか?
A. はい、可能です。病院での画像診断・薬物療法と、整骨院での手技療法・運動療法は互いに補完し合うアプローチです。整骨院での施術内容は担当医にもお伝えいただくと安心です。また、骨折・靭帯断裂・半月板損傷などの器質的な病変がある場合は、整形外科での治療を優先してください。
監修者情報
谷貝 智宏(やがい ともひろ)
緑ヶ丘鍼灸整骨院 院長 / 柔道整復師
開業25年・延べ29万人以上の施術実績。神奈川県厚木市を拠点に、神経系アプローチ・インナーマッスルトレーニング・根本治療を専門とする。
神奈川県厚木市王子1-1-21-101 0120-228-814(完全予約制)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状が続く場合や強い痛みがある場合は、医療機関または国家資格を持つ専門家にご相談ください。
この記事の監修者
緑ヶ丘鍼灸整骨院 院長
国家資格保有(柔道整復師・鍼灸師)|臨床29年・延べ25万人
厚木市で開業して25年。肩こりや腰痛、自律神経の乱れ、姿勢のお悩みなど、これまで多くのご相談を受けてきました。自費診療専門の院として、その場しのぎのケアではなく、お一人おひとりのお身体とていねいに向き合うことを大切にしています。「これは相談していいのかな」という段階で、どうぞお気軽にお声かけください。
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