頭痛がよく出る方、特に症状が強い方の中には、吐き気を感じる方もいらっしゃるかと思います。
そもそも吐き気は、延髄にある嘔吐中枢が刺激を受けることによって引き起こされます。
この嘔吐中枢と頭痛を起こす神経が近接しているので、頭痛が起きた時に嘔吐中枢も一緒に刺激されて吐き気が生じることがあるようです。
自律神経の乱れや低気圧の影響により、一次性頭痛(筋緊張型頭痛、偏頭痛など)とともに吐き気がする場合は、深呼吸や首・肩のストレッチが有効です。
女性の場合では、生理痛のほかに妊娠によっても頭痛や吐き気の症状が出ることがあります。
また、吐き気を伴う頭痛の中には生命の危機に直結するものもあります。
特に頭痛や吐き気の症状が急激な場合、一刻も早く専門医のいる病院を受診するか、場合によっては救急車を呼ぶことも必要です。
注意が必要なのは以下のような病気です。
くも膜下出血
脳は硬膜・くも膜・軟膜の3層で覆われています。このくも膜と軟膜の間のくも膜下腔で出血が起きた状態です。
特徴としてよく挙げられるのが、「突然バットで殴られたような痛みを頭に感じる」というものです。
頭痛の発症部位は頭全体、前頭部、後頭部などで、吐き気、嘔吐をともないます。
脳出血
高血圧症や動脈硬化、外傷などにより、脳の血管が破れて出血した状態です。頭痛、嘔吐、意識障害、片麻痺(かたまひ)などの症状が出るのが一般的ですが、出血部位や血腫の大きさによって症状の出方は様々です。
高血圧脳症
脳の血管の血流量が異常に増加して血圧が上昇することにより、頭痛、吐き気、嘔吐、けいれん、意識障害、視力障害などの症状が起こります。
脳腫瘍
脳の神経膠細胞や周辺組織に腫瘍ができるものです。良性と悪性の場合があります。一般的に起床時に強い頭痛があり、日がたつにつれ次第に強くなっていくのが特徴です。
腫瘍によって脳が圧迫されていくため、吐き気、嘔吐、眼がぼやけるなどの症状が出ます。進行すると意識が低下する場合もあります。
細菌性髄膜炎
何らかの細菌に感染したことが原因で、くも膜や軟膜に炎症が起きてしまう病気です。
特徴として、後頭部の激しい痛みや首筋が硬直する症状、38~39℃の高熱とともに吐き気や嘔吐も現れます。
致死率が高く、助かっても重篤な後遺症を残すこともあり、迅速な診断と早期の治療が必要ですが、乳幼児に多い(罹患報告の約半数が五歳未満)ため、症状を早期に把握することが難しい疾患でもあります。
成人の場合は70歳以上の高齢者に多く見られます。